椿屋四重奏に酔う

あぁ・・・けだるい・・・。それは決して不快な倦怠感ではなく。
紫陽花/螺旋階段を聞く。なんと艶っぽいバンドだろう。そして中田裕二という人のあだっぽさ。伸びやかでいて時に暖かで、物憂げで、時に攻撃的でもある、変幻自在な声。椿屋四重奏はよく歌謡っぽいと言われるけれど、私は純文学っぽいと思った。谷崎潤一郎の作品を読んだ後みたいなアンニュイな感じがして。まさに耽美派。独特な詞も本当に綺麗。この梅雨の時期に紫陽花。ちょっとやり過ぎなくらいにはまってる。湿度の高いこの時期に、湿度の高い中田裕二の曲と声。ヘッドホンやらイヤホンやらで、世界に浸って聞きたい3曲。

薄暗い、けぶったようなステージで歌う中田裕二は美しい。確信犯的なそのステージングはチューニングの時から始まっていたんだと、今更ながら思う。長い時間をかけて、その作業は本人達によって行われる。「早く聞かせろ」という気持ちを、否応無く引き出す。そしてその後見せるステージは「オレの歌を聴け」と言わんばかりの圧倒的な力を持ったもので。もう、棒立ちで聞いていたい、そんな感じ。MCはサムイけど。←台無し

驚いたのはカラオケがついていたこと。何となく中田君ぽくないなぁと思ったんだけど、とんでもない。インストとして聞いてもこれがまたイイ。椿屋四重奏の色というのは、そのまま中田裕二の色であると言っても過言ではないと思っているんだけど、中田君の声が無くても、こんなにも楽曲が椿屋だとは。椿屋でしかない、と思う。これ凄い。今、歌っている歌い手達の曲で、一体どれだけが歌を取っても尚、その色を出せるものがあるというのか。恐ろしいぞ、椿屋四重奏

私、褒めすぎ。

是非。


初めて見た時は「昔で言うところの沢田研二っぽい」と思ったのは内緒だ(色気という点で)。誤解の無いように言っておくが、私は沢田研二志村けんの違いがわからないでドリフを見ていた世代ですから、念の為。・・・ドリフ世代かよ・・・